2012年2月2日号
2012年新春
手前が長寿犬「ゴンミ」(18歳?・♀)。左はニコ(2歳・♀)と猫のハニー(3歳・♂) まだまだ、これから雪に悩ませられそうな時期ですから新春というのもピンときませんが、魚沼よみうりの読者の皆様、おいしいものを食べすぎてメタボになっていませんか?私も食べすぎています。皆さんの愛犬、愛猫はメタボになっていませんか?気をつけましょうね。
以前も、紙面でお話ししたことのある中越地震で迷子になったまま病院に居候している「ゴンミちゃん」。おかげ様で、まだ元気にしています。おめでたいことと言えばこの子が長寿でまあまあ元気だということでしょうか。あれからもう7年、今年で8年目でしょうか。当時、推定10歳だったのでもう18歳?少なくても16歳くらいにはなっているでしょう。
うちに居候し始めたころからほとんど変わらなかったのですが、やはりかなりの高齢犬。最近はけっこう衰えが目立ってきました。 耳はほとんど聞こえません。でもジェスチャーでいろいろ理解して外に散歩もひとりで行けます。でも少し眼も白内障が出ています。足は当初から少し不自由でしたが、今では関節炎でお薬を飲んでいます。心臓も肥大傾向です。さらに最近は脳神経の症状も発症しました。今は治って落ち着いていますが再発も考えられます。この8年間、ダイエットしてもちっとも痩せなかったのですが、このところ少し痩せてきています。
こう書くと、ちっともおめでたくないようですが、18歳といえば人ではもう100歳にもなる年齢です。それも大型犬の部類に入りますから、もう相当な長寿といえます。そして病院にいらしていただく皆さんから「ゴンミちゃん、ゴンミちゃん」とかわいがってもらえることが何よりうれしいことです。思えば8年前の中越地震の時、多くの犬や猫を一時預かりした中の1頭でした。迷子犬で保健所に保護されてからうちに来たのですが、すぐに飼い主さんも見つかるだろうと思っていました。それがもう8年です。でも居候当初からもう10年もいるかのような態度で病院内をうろうろ。おとなしくて人なつこい性格で診療の合間を見計らって診察室に入りこんで飼い主さんに寄っていくので、皆さんに触ってかまってもらい、とても可愛がっていただいています。この年月がなんだか長いような短いような時間です。
時々邪魔になりながら病院のいたるところで寝転んで、おなかを出していびきをかいて寝ているゴンミを、うちのスタッフも可愛がって世話をしてくれています。もうなくてはならない存在のようです。
皆さんの可愛い動物たちも健康で長生きできるよう。そしてご家族の皆さんと共に楽しい生活を送っていきたいものですね。
back number(2011)
2011年1月20日号
ありがとうございました。ご報告。
皆さん、お正月でおいしいものを食べすぎて太ってしまっていませんか。そして愛犬の体重も増えていませんか。最近は冬場に太ってしまう犬、猫も多いようですから気を付けてください。
さて、当院に2年前から居候していいた猫が、おかげさまで元気に貰われて行きました。いろいろな事情の猫を見るとほっておけないという愛猫家のお宅に先月行きました。この間にいろいろと貰い手探しにご尽力くださった関係者の皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
この子は一人暮らしのお爺さんが大変可愛がって飼っていた猫なのですが、そのお爺さんが入院するということで当院にて預かりました。何回かお預かりしたことがあったのですが、今回は数か月の間連絡がなかったので、お宅に伺ってみたりご近所に連絡をお願いしたりしていました。しかし、不幸にもお爺さんは退院かなわず亡くなってしまいました。そして、お爺さんに姉妹がいるようでしたが、詳しい事情は分かりませんけれど猫の引き取りを拒否され、仕方なく当院の居候となりました。
この子は、大変おとなしいで性格でしたがあまり人に抱かれるのを好まず、ひとりを好む性格でしたので、うちの猫たち3匹との同居生活にはしばらく馴染めないようでした。猫は兄弟や親子でも猫同士の相性があり、お互いに相性の合わない子は一緒にいるのが大変なことが多いようです。ですから、新しい猫を迎える時はお互いの猫の相性を見て飼い方を決めていってください。
きっと、今頃は広い部屋でひとりのびのびと生活していることと思います。今もお爺さんがつけた元の名前で呼ばれ可愛がられているようです。この子を貰ってくださった愛猫家の方、本当にありがとうございました。
前にも書いたことがありましたが、この地域では野良犬よりも、野良猫あるいは野外猫のほうが問題になっています。「安易に餌だけやることによる無規律な繁殖や糞害などです」。そして多くの不幸な猫が生まれます。今回の場合は事情が全く異なりますが、不妊去勢手術により「不幸な子猫を増やさないように」お願いします。
2011年3月3日号
ふゆのしごと
皆さんと動物たちの体調はいかがですか。それにしても1月半ばから2月にかけての2週間の雪はたいへんでしたねぇ。毎日、雪片付で皆さんも大変だったことと思います。
ところで、寒い冬には犬猫の膀胱炎や猫のかぜなどが多くなりますからご注意ください。動物たちのトイレの様子や食欲などに注意してください。さて、1月半ばの寒波が始まったころの日曜日、新潟でセミナーが開催され、参加しました。我々、開業獣医師は春から夏にかけて、狂犬病予防注射やフィラリア症予防などで診療が慌ただしくなりますが、冬場は比較的時間がとれるようになります。そこでセミナーやら会議やらがたくさん入ってくるのです。多い時は週2回も出かけたりします。2月3月にも何回か予定が入っています。臨時休診でご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします。
私も有意義なセミナーには可能な限り参加することにしていますが、そのほとんどは新潟市で行われます。人の多くいる交通の便のいい所で開催するのは当然のことではありますが、冬場に新潟市まで出かけていくのは正直たいへんです。
場合によっては丸1日がかりになります。そして帰ってくると車の上には雪がいっぱい…。夜は凍結して高速道路は要注意。元来、出不精で車の運転もあまり好きなほうではない身には少々辛いときがあります。
セミナー講師には大学の先生方が多いのですが、今回は関東で開業している臨床獣医師でした。創傷管理についての講演でした。湿潤療法とかラップ療法などともいわれていますが、最近の考え方では、傷は乾燥させないで適度な湿潤環境で管理するほうが傷の治りが早く、きれいに治癒すると言われています。私も用いたりするこの創傷管理の臨床現場の実際について丸1日、講習を受けてきました。以前と違って老眼が始まってしまい、また近視も絡んでスクリーンを見たり手元を見たりがなかなか忙しくなりました。また長時間座っているのも普段はあまりないことですので却って疲れてしましましたが、たいへん有意義な時間を過ごせたと思います。
どの分野も、どの仕事も同じなのでしょうが、獣医療の分野も日進月歩で新しいことが出てきます。書籍や月刊誌も数多く出版されていますし、各種学会、セミナーも多く行われています。すべてに関し精通することはなかなか大変なのですが、できる限り新しい技術や情報提供ができるように努力していきたいと思います。
もうちょっとで春です。雪掘りも仕事もがんばりましょう。
2011年4月21日号
動物とともに
4月になっても外には雪が山積になっていますね。動物たちは早く外で活動したくて…うずうずしていることと思います。でも、この時期は交通事故などに十分注意してくださいね。
このたびの東日本大震災で被災された関係者の皆様、謹んでお見舞い申し上げます。被災地の状況を新聞やテレビで見るたびに辛くて悲しい気持ちになります。また、被災地で活動しておられる関係者の皆様の大変なご苦労を思うと頭の下がる思いです。震災から数週間たって新聞やテレビなどから被災動物の記事が発信されるようになってきました。犬たちや猫たち、ウサギや牛まで飼い主と離れて食事も取れない状況にも悲しくて涙が出てきます。この南魚沼にも多くの避難者の方々と共に犬や猫、ウサギなどの動物たちも家族の一員としてやってきています。やはり大変辛い状況ですが、飼い主と離れ離れになった子たちの不安と飼い主のせつない気持ちは計り知れません。
思い出してしまうのは、7年前の中越地震です。幸いにもうちの病院では被害が大きくなかったため、被害に遭われた飼い主さんの飼育体制が整うまでの間、獣医師会や保健所、ボランティアと連携して犬や猫を一時預かりしました。当時は余震も結構あったため預かっていた子たちも揺れや環境の違いによる不安が見られました。また預かり中に手術をしなければならない子もいました。結局個々の入れ替わりはありましたが、半年以上にわたり犬や猫を預かっていました。その中でずっと飼い主さんが分からずに居候からうちの子になってしまったのが、ときどきこの紙面で登場しているゴンミです。あれから7年ですから、おそらくもう15歳は過ぎているでしょうか?ラブラドールミックスかな?来た時の体型のまま(皆さんにデブといわれます、動物病院にいるのに…)、おかげさまで元気にしています=写真=。
いま、東北では当時と同じような動物たちが中越地震の時より広範囲に被災していると考えられます。もちろん獣医師会や保健所や各自治体、各ボランティア団体が一生懸命に活動していますが、やはり長期的な活動が必要になってくると思います。各団体が協力して連携しながらより効果的な支援活動ができ、被災した動物にとってよりよい環境が整えられることを希望しています。新潟県獣医師会でも今回の震災に対する協力体制を整えて活動しているところです。
動物たちにとっては、元の飼い主さんと一緒の生活ができるようになることが、何より幸せなことだと思います。早くそのような環境が整えられるということは、被災者にとっても本当の復興につながることだと思います。どうか動物たちと一緒の楽しい生活が一刻も早く実現できることを願っています。
2011年6月16日号
元気ですよ〜
活動的な良い季節になりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。でも時々暑い日が見られるようになりました。動物は暑いのが苦手ですから、これからは熱中症などに注意してください。
そして、まだまだ震災や原発の影響から抜け出せないこの頃ですが、今日は私ごとのご報告です。お正月号で脱メタボ宣言をしましたが、成功しました。いや…成功しすぎました。
最近は来院する飼い主さんに「痩せましたか」と聞かれるのはまだいいのですが、「先生、具合悪い??」と聞かれたり、「病気かと思った」と言われたり、気を使ってくれてスタッフにそっと聞いたりする飼い主さんが多くなりました。私は一応…元気です。具合が悪くて痩せたわけではありません。今のところ…。
昨年11月の人間ドックに向けて、8月頃から脱メタボを開始しました。一昨年の検診でメタボ基準をすべて上回り、要指導に仲間入りしました。もともと太りやすい体質でお酒も甘いものも大好きなものですから、飲むと食べる、締めはラーメンの生活でしたから飲み会の翌日は2キロくらい増えていたりしました。それからなかなか脱メタボができずにいましたが、自分の体力不足と歳とストレスを感じることが多々あり、いよいよ検診に向けて脱メタボのため減量に取り組みました。それから数カ月、検診のころには体重71キロまで減量しました。
そして、成功しすぎて今では体重が中学校以来記録したことのない60キロ台になりました。過去一番のピーク時に比べて10キロ近く減りましたから、しばらくお目にかかっていない方はびっくりするかもしれませんね。おまけに7年間の丸坊主から髪の毛を伸ばしましたから、余計に顔がほっそり見えるかもしれません。今では体脂肪率14%、BMI22・5になりました。ぜひ会いにきてくださいね。半年で10キロの減量ですからダイエット本も書けるかもしれませんね。でもその方法はいたって普通です。ストレスも多々ありましたが食事の量と飲む量を減らして、運動と筋トレをしました。今では某筋トレ運動系雑誌が愛読書になりました。でもこのまま維持するのがたいへんですよね?あまり自信がありません。
犬や猫も最近は肥満が問題になっています。やはり人と同じように肥満は様々な病気を誘発し、症状悪化の要因になります。たとえば心疾患などの循環器障害、関節障害、皮膚疾患、糖尿病など、あるいは手術時に麻酔や手術のリスクが増大するなど多くの問題が出てきます。可愛いからといっておやつばかりをあげすぎないでくださいね。
2011年11月17日号
秋の注意
皆さん、ご無沙汰しています。バタバタと過ごしているうちに夏が終わり秋になり、秋も結構深まってしまいました。魚沼よみうりの投稿もちょっと間が空いてしまい、楽しみにしてくださっている皆さんすみませんでした。
さて、道端の草の緑が茶色に変わり、草木が枯れてくるこの季節になると多くなるトラブルがあります。それは枯れた草の種、いわゆる「バカ」といわれるものです。皆さんの愛犬も草むらに入って体中にくっつけてきていませんか?時としてこれが悪さをします。これが耳に入ったり眼に入ったり、あるいは足の指の間(趾間)に刺さることがあります。
散歩後に、突然耳を気にする。眼をこする。あるいは趾間を舐めるなどの行動があったら要注意です。「バカ」が悪さをしているかもしれません。この状態の困ったところは動物が非常に気にすることと、しばしば診察や治療が大変になってしまうことです。
かなりおとなしい子でないと嫌がって耳や目を見ることすらできないことがあります。趾間も異物が刺さって入り込んでいると外から見ただけではわかりません。そうすると異物があるかどうかの確認や摘出のために鎮静や麻酔が必要な事があるのですが、年齢や動物種、品種、予防状況などにより簡単に麻酔をしましょうと言えない場合があります。もともと麻酔や手術などの際には多かれ少なかれリスクはあるのですが、個々の状態によって事前の検査や時には入院なども必要なケースもありますから、結構厄介なことになる場合があります。
ですから、飼い主の皆さんは動物の体に「バカ」がついてしまうような場所には入らないようにするのが、このトラブルの予防としては一番いいことになります。また、動物が外出後突然、耳や目を気にしたり趾間を舐めだしたら異物が入っている可能性がありますので病院に受診してください。
秋は動物たちにとって気温が高くなくて運動に適した季節ですから、大いに一緒に外出してください。でも今回お話ししたことや、毒キノコの誤食なども注意が必要です。動物たちと共に活動的な楽しい秋を過ごしてください。
2011年12月1日号
トイレに注意
早いもので私達の周りの山に、白いものが降りてくる頃になりました。あっという間に寒さも増して、また長い冬が来てしまいますね。
さて、寒くなってきたこの時期はおしっこに関するトラブルが増えてくるのですが、今年は例年よりも具合の悪くなる子が多い気がします。
おしっこが赤い、トイレに何度も入っている(頻尿)、おしっこがぽたぽたとしか出ない、食欲がない、吐いている(嘔吐)などがあったら要注意です。残尿感からトイレの回数が多くなるような膀胱炎の症状を示すことが一番多いです。頻繁にトイレに入って何も出ていない症状を便秘になったと勘違いして連れてくる飼い主さんもあります。もちろん便秘の事もありますし、両方を併発していることもありますが、多くは膀胱炎などの泌尿器系の病気などです。さらに、このような症状のほかに食欲がない、嘔吐があるなどの症状を伴っているようだとすでに腎不全を起こしている可能性が高くなります。腎不全は生命に関わる病気ですから、すぐ病院に行く必要があります。
頻尿から膀胱炎、排尿障害を伴って腎不全までを急速に起こす原因として多く診られるのは尿石症です。砂糖を溶かし残したような細かい白い砂が膀胱にたまり、それが刺激となって膀胱炎を引き起こし、尿道に詰まると排尿障害から腎不全を起こします。時には大きな結石ができることもあります。個々の状態でさまざまな経過をとり、時には長期の入院や手術が必要になることもあり、命にかかわることもある厄介な疾患です。男の子は尿道が細く長いため尿石がつまりやすく特に注意が必要です。
肥満、ストレスや性別などの発症リスクもありますが、多くは尿結石のできやすい個々の体質や食生活が関係するのではないかと考えています。
尿石症になってしまった、あるいは尿石症になりやすい子には、専用の療法食があります。膀胱炎は投薬治療が中心になりますが、尿石症、腎不全では点滴、入院、食事療法や手術、それに伴って血液検査、レントゲンやエコー検査、結石分析、細菌培養検査など、いろいろな検査や治療が必要になる場合があります。
一般的に発見が遅れると重症化しやすく治療も大変になりますから、普段の観察が大事です。トイレに何回も入っているのにおしっこが出ていないなどトイレの様子がいつもと違っていたらすぐに受診してください。寒さが厳しくなるこれからが泌尿器系のトラブルの多発時期です。
back number(2010)
2010年1月3日新年号
2010年 春
左から、ニコ(9月11日生まれ・♀)とゴン美(13〜15歳?・♀) あけましておめでとうございます。
昨年は皆さんにとってどんな一年だったでしょうか。筆不精を自認する私は、昨年の魚沼よみうりにほとんど寄稿せず、編集者にご迷惑をおかけしてしまいました。今年はもう少し頑張りたいなと思っております。
さて、一年は早いもので歳を取るごとにあっという間に過ぎてしまいます。そして今年はとうとう私も年男です。24歳?36歳?いえいえ、ついに48歳になってしまいます。この次は60歳還暦ですよ。自分でも信じられないくらい月日の経つのは早いですね。気持は若いつもりですが、体のほうはそろそろガタが来はじめました。膝は大学の部活動で痛めた古傷が…。続いて腰も首も。それから老眼?特に手術後の抜糸のとき、小さな糸が見えにくくなって…。と新年早々、情けないことをたくさん書いてしまいました。でも、最近は同級生が集まるとそんな話になったりして、自分だけじゃなかったのかと少しホッとしたりもします…。そういえば同級生の中にも、孫が出来てじさやばさになったのがいますから、しかたないのでしょうか。
歳の話になってしまいましたが、犬や猫も近年は長生きの傾向にあります。少し古くなりますが、3,4年前に新聞に出ていた平均寿命のデータでは、犬11・9歳、猫9・9歳でした。
この記事を見たとき、犬は私が漠然と思っていた寿命と大体同じでしたが、猫についてはすこし寿命が短すぎるかなと感じました。というのは、日々の診療の中で15歳を過ぎる犬は少なくなり、18歳を過ぎ20歳を超える犬はほとんど聞いたことがありません。対して猫は15歳以上でも結構よく見かけますし、20歳を超える猫もわりといます。この間は24歳だという猫の話も聞きましたから、平均寿命は別として猫のほうが長寿のように思います。その新聞にあった犬より猫の平均寿命が短いというデータは、おそらく、外出自由の猫が交通事故や病気などで比較的若い年齢で死亡することがあるため、平均寿命を下げる結果になっているのだと私は思っています。そういえば世界最長寿としてギネスブックに認定された雌犬のダックスフントが21歳で亡くなったと、昨年の新聞記事に出ていたのを思い出しました。その記事によると、人間なら147歳に相当するそうです。
食生活や飼育環境の改善、獣医療などの進歩の結果、以前より動物たちが長生きになったのは間違いがないようです。しかし、それらのために増えてくる病気も最近は多く見受けられるようになってきました。詳しくは次の機会に譲りますが、人間社会と同じような病気が多くなってきたように思います。いずれにしても、元気で長生きは大変喜ばしいことですから、私達も愛する動物たちも元気でいつまでも共に楽しくこの一年を過ごしていきたいものです。
2010年2月25日号
最近多く見られる病気①
前回、食生活や飼育環境の改善、獣医療などの進歩の結果、以前より動物たちが長生きになったと述べました。そして、それらのために増えてくる病気も最近は多く見受けられるようになってきたと書きました。
たとえば癌、糖尿病、慢性腎不全、アレルギー、アトピー性皮膚炎などです。他に目立つのは、いわゆる肥満です。「肥満」とは、「体脂肪率が増加した状態」のことで、理想体重より15%以上重い状態を肥満としています。そしてこれは犬や猫で心臓病、気管虚脱など呼吸困難、脂肪肝、糖尿病など内分泌障害、尿石症、関節炎や靭帯断裂などの関節の病気、がんなどの腫瘍、等々多くの疾患のリスクを高めるといわれています。
肥満は犬、猫共に最近多く見られますが、ある調査(日本ヒルズ)によると動物病院に来院する犬のうち30%以上が肥満または太りすぎ、猫では20%以上が同様だったとのことです。肥満チェックの一つの指標としてボディコンディションスコア(BCS)という5段階評価がよく用いられていますので、詳しくはかかりつけの動物病院などでお尋ねください。簡単な目安としては生後1歳の頃の体重を参考にしてみて下さい。犬(犬種により多少異なる)や猫ではだいたい1歳くらいでほぼ大人になると考えられますから、その頃の体重がひとつの目安となります。今の体重が15%以上重いようなら、現在は肥満の可能性があります。
肥満の要因としては過食、避妊や去勢(肥満の要因のひとつといわれることもありますが、性ホルモンの関係した幾つかの病気の予防や性行動、繁殖制限等の有効な手段としてこれらの手術は推奨されています)、運動量の減少、加齢など様々ですが、中でも過食は肥満の大きな要因と考えられます。特におやつが肥満の原因になっていること多いのではないかと思います。人の食べ物をあげたり、家族全員が少しずつ、おやつをやっていて合計ではかなり多く食べていたなどというケースが多いのではないでしょうか。もう一度チェックしてみてはいかがでしょう。
肥満自体は病気だとはいえませんが、いま述べたように最近は比較的多く見られ、さまざまな病気のリスクを高めます。「万病の元」とは言えないかもしれませんが「万病の誘因」くらいのことは言えるのではないでしょうか。人のメタボと似ていますね。
2010年3月4日号
最近多く見られる病気②
前回は、最近肥満が多くなってきたとお話をしました。そして肥満は犬や猫で心臓病、気管虚脱など呼吸困難、脂肪肝、糖尿病など内分泌障害、尿石症、関節炎や靭帯断裂などの関節の病気、がんなどの腫瘍、等々多くの疾患のリスクを高めるといわれていることを書きました。
では、減量して適正体重にするためにはどうすればいいのでしょう。まずは、おやつや運動などの生活を見直して下さい。ある療法食メーカーの指導本には普段家族一人一人があげているおやつをひとつのビンにためてみると、1日にあげているおやつの総量が把握しやすいと紹介されています。それぞれは少量づつのつもりでも合計では意外に多くのおやつをあげているかもしれません。こうして少しづつ生活を見直して徐々に減量していって下さい。
しかし、過度の肥満に対しては食事管理をしていく必要があるでしょう。全体の摂取カロリーを減らすのはもちろんですが、通常食を極端に減らしてしまうとカロリーだけでなく、筋肉や内臓や骨を維持するために必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどが不足する恐れがありますから注意してください。
人のダイエット本などにも書いてありますが、減量をすると体脂肪だけではなく筋肉量も減ってきますから、一度体重が減少した人がリバウンドすると前と同じ体重になったとき、以前より体脂肪が増えて筋肉量が減ってしまうので基礎代謝量が減少して、以前よりも体重が落ちにくくなります。これを繰り返すとどんどん痩せにくい体質になってしまうということです。ですから総摂取カロリーを落として減量をしながら、適度な運動や適切な栄養で筋肉量を落とさないようにしなければなりません。
減量においては、ただカロリーを減らすだけでなく適切な栄養や健康状態のチェックが大切ですので、本格的な減量はかかりつけの獣医師にご相談ください。そして体重を一気に落とすのではなく長い期間で徐々に健康的に減らしましょう。たとえば体重60㌔の人が1カ月に1㌔減量するのと、体重10㌔の犬が1㌔減らすのでは、その減少率には大きな差があることを覚えておいてください。何㌔減ったと思うより、何㌫減ったと考えて下さい。小さい犬にとっては、わずか数百㌘がかなりの減少率になります。逆にわずか数百㌘の増加がかなりの増加率になってしまいますので注意が必要です。
こう書きながら、メタボの私はまるで自分のことのように反省しています。
わかっちゃいるけど痩せられない…です。焦らずゆっくり、がんばりましょう。
2010年4月1日号
犬の十戒(犬の飼い主の十戒)
今日は「犬の十戒」と呼ばれている文章をご紹介します。巷の愛犬家の間では密かに知られているものだそうで、インターネットなどでもたくさん見られるようです。私も詳しくは知りませんが、英語の原文があるそうです。しかし著者不明だそうで、この文章の和訳をご紹介します。いわば犬から人(飼主)へのメッセージです。
❶私の一生は10〜15年くらいしかありません。何があっても最後まであなたのそばにおいてもらえますか。私のことを飼う前にどうかそのことを考えてください。
❷「あなたが私に望んでいること」を私が理解できるようになるまで少し時間をください。
❸私を信頼してください…それだけで私はうれしいのです。
❹私を長時間ずっと叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい。あなたには仕事や楽しみがありますし、友達だっているでしょう。でも…私にはあなたしかいないのです。
❺時には私に話かけて下さい。たとえあなたの言葉はわからなくても、私に話しかけているあなたの声を聞けばわかるのです。
❻あなたは私のことをどんな風に扱っているのか考えて下さい。私はあなたがしてくれたことをずっと忘れません。
❼私を叩く前に思い出して下さい。私にはあなたの手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があるけれど、あなたを噛まないようにしていることを。
❽言うことをきかない、手に負えない、怠け者だと私のことを叱る前にそうなる原因が何か無かったか思い出して下さい。適切な食餌をあげなかったのでは?日中太陽が照りつけている外に長い間放っておかなかったか?心臓が年をとるにつれて弱ってはいないだろうか?などと。
❾私が年をとってもどうか世話をしてください。あなたも同じように年をとるのです。
❿最後の旅立ちの時には、そばにいて私を見送ってください。「見ているのがつらいから」とか「私のいないところで逝かせてあげて」なんて言わないでください。あなたがそばにいてくれるだけで、どんなことでも安らかに受け入れられます。そして…どうか忘れないで下さい。私がいつまでもずっとあなたを愛していることを。
いかがでしょうか。いろいろな方が英文を犬の気持ちを代弁し、和訳されているようですが、何度かじっくりと読み返してみてください。犬たちの気持ちが垣間見えるような気がします。皆さんは、どうお感じになりましたか。
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2010年7月15日号
マスク姿ですみません
しばらくご無沙汰していました。皆さん元気でお過ごしでしょうか。
梅雨の蒸し暑い季節。私は額に汗をかきながらもマスクをしています。男前というわけでもないので、マスクでもして顔を隠していたほうが、かえっていいのかもしれませんね。でも、冬はまだしも梅雨から夏にかけては、マスクは本当に息苦しくなって大変なのです。
いつのころからか咳が出るようになり、時にはくしゃみも連続して出るし、何だかおかしいなと思っていたのです。肺がんなんかも心配になって人間ドックでCT検査を追加したりしました。咳やくしゃみはマスクをすると軽減しますが、動物病院にいるとやっぱり出るし、そうです犬猫のアレルギーになってしまったのです。笑い話のようですが、獣医師がアレルギーで犬猫苦手じゃどうしようもありません。もう10年ほど経つかもしれませんが、それからはマスクが手放せない体になってしまいました。特にこの時期は、蒸し暑いわ、動物の抜け毛はすごいわ、私にとってはほんとうに困った季節になります。でもとてもマスクなしには診察ができません。ですから、坊主頭にマスクしてちょっと人相が悪いですが勘弁して下さい。そして、うちのスタッフもマスク着用者がいますが、決して素顔をさらしたくなくてマスクを付けているわけではありません。
本来はマスクをせずに受付でお話をするのがよいのですが、やはり犬猫の毛などのアレルギーがあったりして、やむを得ず着用させていただいていますので、私ともどもひとつよろしくお願いします。なんだか動物病院の職業病のようですね。
そういえば花粉症なんかも、突然なるっていいますよね。私はまだ花粉症にはなっていないですが、いつ発症するかもわかりません。アレルギーってほんとに困ったことですね。
近年は、犬や猫にもアレルギー性の疾患やアトピー性皮膚炎などが多く見られるようになりました。季節性アレルギー性皮膚炎や鼻炎などもありますし、動物たちも人と同じようになってきました。
さて、動物たちにとって夏と言えば、野外に出る機会の多くなる活動的な季節ですが、以前から時々書いているように注意もいくつか必要です。やはりまず、熱中症でしょうか。暑い車や部屋の中に放置したり暑い日中に激しい運動をしたりしないよう管理してください。そのほか事故や怪我にも気をつけましょう。心臓の悪い子もこれからの暑い季節は安静時にも呼吸や心拍が速くなりがちで、ちょっとした運動や興奮で心臓に負荷がかかりやすいので注意してください。また老猫などで慢性腎不全を患っている場合には、やはり脱水が進行しやすくなりますから、しっかり水分をとったり涼しいところでの十分な体調管理が必要です。
2010年10月7日号
増やさないのも愛①
こんにちは。暑い夏も終わり、今度は急に寒くなってきましたが、動物たちにとっては今が一番活動しやすい季節かも知れません。
さて、先日9月26日の日曜日、魚沼地域の動物フェスティバルが大和の八色の森公園で行われました。動物愛護週間に関して各地の動物愛護協会が主催するイベントです。
魚沼では毎年、南魚、北魚、中魚の三地域が持ち回りで会場を設定しています。長寿動物や動物愛護功労者の表彰など、フェスティバルの内容としてメイン会場で純粋犬の紹介、警察犬や災害救助犬の模範演技、シーソーやハードルなどの障害物を飼い主と一体になってクリアしていく犬のスポーツのアジリティー、フリスビードックの紹介あるいはしつけ教室受講犬の発表会など様々でした。また会場の周りを囲むテントでは、地域獣医師による動物何でも相談やトリマーによるペットの美容教室、チャリティーバザーなどもありました。また動物ふれあい広場、ポニーの乗馬体験のコーナーもあり、多くの来場者で賑わっていました。
わたしは「純粋犬の紹介」を主に担当しました。病院へいらしていただいている飼主の皆さんにお願いして愛犬をお連れいただいて、その犬種の原産国や特徴を観客の皆さんにご紹介しながら、犬に対する理解を深めていただこうというものです。
犬は古くから人と一緒に生活している動物で、その国や地域の生活や目的によって、それぞれに異なる優れた能力、大きさや姿かたちなど様々な特徴ある多くの犬種が生まれました。猫など他の動物に比べてこれは特記すべき大きな違いだと思います。今回、多くの犬種がある中のごく一部でしかありませんでしたが、皆さんにたいへん興味を持ってご覧いただきました。無理を言ってお願いした愛犬と飼主の皆さん、忙しい中ご協力いただきありがとうございました。この紙面をお借りしてあらためてお礼申し上げます。
秋晴れのさわやかな一日を楽しく過ごすことが出来ました。多くの皆さんにご来場いただき改めて動物のよさを実感し、動物に関する理解を深めていただいたことと思います。
人の生活上欠かせない存在になった動物たちですが、問題もたくさんあります。その代表的な問題に今回のフェスティバルのテーマ「増やさないのも愛」が関連します。紙面の関係で詳しいお話は次回に譲りますが、皆さんもうお分かりですよね。
2010年10月21日号
増やさないのも愛②
前回は、八色の森公園で行われた「動物フェスティバル」の様子をお話ししました。そして「増やさないのも愛」がテーマであり、それに関しての問題があることを少し述べました。これをテーマにした常設ブースでは、さまざまな動物に関する色々な情報を提供したり、飼主のいない子猫や犬たちのための新しい飼主さん探しの情報などを発信しました。興味を持って下さった方も多くいましたが、まだまだ十分ではないようです。
特に捨て猫や捨て犬に関する事は、以前からずっと解決されない問題なのですが、このあたりの地域では、なかでも猫の問題が大きいようです。
ブースにおいて、不妊や去勢手術をせずに放っておいた場合、いかに多くの猫が増えるのかというネズミ算ならぬネコ算の絵が掲示されていました。多い場合に雌猫は1年に4回出産することもあり、1回に4、5匹生んだと仮定すると、なんと1年たつと1匹の母猫から16〜20数匹に増えてしまうのです。その子供も生後1年たたずに出産することがありますから、生まれた子猫の半分が雌で同様に4匹生んだと仮定すると、1匹の母猫から1年間になんと48〜60匹に増えてしまう計算になります。次の年にはその猫も出産しますから、ネコ算でも恐ろしいことになるのです。
ですから繁殖制限をしないまま、かわいそうだからと餌をあげ続けて数が増えすぎてしまうと最後は自分ひとりだけではどうしようもなくなってしまいます。かえって猫や周りの人、あるいは自分自身のためにもなりません。捨ててしまうのは法律に触れる行為ですし、もちろん倫理的にも問題があります。「増やさないのも愛」です。
もう1点、われわれ獣医師の立場からは、不妊や去勢手術をすることによって防げる病気があるということをお知らせしたいと思います。雄犬については、前立腺肥大、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど老齢時に起こりやすくなる疾患の予防として有効です。雄猫では、マーキングや喧嘩による外傷、伝染病感染や寄生虫性疾患あるいは交通事故リスクの軽減など。雌の犬や猫では子宮蓄膿症などの子宮や卵巣の関連した疾患、乳腺腫瘍あるいは出産に伴うリスクなど、さまざまな点でメリットがあります。特に、乳腺腫瘍に関しては、早期の不妊手術によって発症リスクが明らかに低減できるというデータが示されています。デメリットとしては手術リスクや肥満傾向がみられるなどのことがありますが、それは不妊、去勢手術によって得られるメリットに比べて小さいことですから、最近では一般的に不妊、去勢手術は勧められる傾向にあります。「増やさないのも愛」です。
back number(2007〜2009)
1.狂犬病の知識(現状)(魚沼よみうり2007年新年号掲載)
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、皆さんにとって昨年の重大ニュースはなんでしたか?我々獣医師業界での話題といえば、昨年11月に国内で2人もつづいてあった狂犬病の発症例でしょうか。テレビ等で取り上げられていたので、ご記憶の方も多いと思います。1970年ネパールで犬に咬まれた青年が帰国後死亡して以来、36年ぶりの国内での狂犬病発症です。いずれもフィリピンで犬に手を咬まれ、帰国後に発症してしまったという輸入感染症ですので、すぐに国内で流行するとか人や犬が危険だということではありません。しかし、さまざまな分野で地球規模の交流が行われている現代は、決して他人事ではありません。
狂犬病は日本、英国、スカンジナビア半島の国々などごく一部の地域を除いて、全世界に分布しています。アジア、アメリカ等私たちにとって身近な国々で今も発生している恐ろしい病気です。その恐ろしさは発症するとほぼ100%死亡するところにあります。狂犬病の死亡者数は全世界で5万5千人、うちアジア地域3万1千人(WHO 2004)と推計され現在もなお多くの人々が亡くなっているのが現状です。さらに年間の暴露(狂犬病感染の恐れのある動物に接触したり咬まれたりすること)後のワクチン接種者は推計1千万人にもおよんでいます。今回2人の発症者が渡航していたフィリピンでの死亡者数は248人、犬の発生数は1,546頭(2004年)という状況です。さらに昨年は、中国の雲南省で5万匹の犬が一斉処分されたとか、北京ではペットの日中外出が禁止されたという報道もありました。このように狂犬病は海をへだてたすぐ隣で現在も発生し、多くの国々がこの病気に対して頭を悩ませているのです。アメリカやヨーロッパなどの先進国といわれる国々も例外ではないのです。
冒頭で触れたように、多くの人や物が国内外をさかんに行き来する時代です。ですから他人事でなく狂犬病を身近な問題として、受け止めてもらいたいと思います。年頭の話題としてはやや堅苦しいようですが、狂犬病に関する知識を深めることは大切です。今後何回かよろしくお付き合いください。
今年が皆さんにとってよい年でありますように。
2.狂犬病の知識-2(魚沼よみうり1月18日号掲載)
「歴史と経過」
前回、狂犬病は全世界のほとんどの国で発生し、清浄国はわが国などごくごく一部だということをお伝えしました。今回は歴史と経過です。
この狂犬病は紀元前2000から1700年頃には人類に知られ、ハムラビ法典にもその記載がされているとのことですから、約4千年ものあいだ未だ根絶されず人類に恐れられているのです。今でも発展途上国ではまだまだ狂犬病対策自体が十分とはいえませんし、統計も不正確なところがあります。一方、先進諸国では犬の狂犬病はコントロールできているものの、野生動物の間に流行がありキツネ、タヌキ、狼、ジャッカル、アライグマ、スカンク、コヨーテ、マングース、ネズミ、リス、クマ、コウモリ等様々な動物の狂犬病が報告されています。野生動物は国境に関係なく移動し、大陸は面積が広大なため狂犬病清浄化が困難になっています。ですから、先進国といえども海外旅行のときは注意が必要です。
わが国でも古くは717年の古文書にその記載があり、以降いろいろな書物にその記載があるようです。そして1732年頃江戸時代に長崎から始まった狂犬病は全国的に大流行していきました。以降明治、大正、昭和と200年以上にわたり狂犬病が流行し、多くの人々が甚大な被害にあってきました。特に大正12 年の関東大震災前後、昭和20年終戦前後の混乱期と朝鮮戦争特需景気の昭和25年頃を中心とする大流行がありました。
そこで、わが国では昭和25年に狂犬病予防法を制定し本格的な対策を講じました。その大きな柱は犬の狂犬病ワクチン接種の実施です。これにより生後91 日令以降の犬の登録と狂犬病予防ワクチンの接種が義務化されました。そして関係者の努力によって昭和32年以降国内の狂犬病発生はみられず、世界に数少ない狂犬病清浄国としてその状態を維持しているのです。これはたいへんすばらしいことです。
しかし、輸入感染症として36年ぶり、国内での狂犬病発症者が連続してしまい、残念ながら2人の患者さんは亡くなってしまいました。今後もその可能性は否定できません。
いったい、狂犬病とはどういうものなのでしょうか……。
3.狂犬病の知識-3(魚沼よみうり1月25日号掲載)
「病気の特徴と症状、治療」
前回は狂犬病の簡単な歴史と日本での発生経過、海外の状況をお話しました。
狂犬病は発症するとほぼ100%死亡する病気だということは知っていましたか?
名前については皆さんもよくご存知でしょうが、狂犬病は人を含む哺乳動物すべてに感染するということは知っていたでしょうか。前回述べたように、人や犬、猫はもちろん、他のあらゆる哺乳類に感染し、発症するとほぼ100%死亡します。これが大きな特徴です。
この病気は、感染動物の唾液中に含まれる狂犬病ウイルスが、おもに咬傷部位から進入することにより起こります。このウイルスは神経を伝わり(向神経性)、脳に到達し発症します。人にこのウイルスが感染してから発病するまでの潜伏期間は、咬まれた部位等により十日から一年以上と大きな開きがあります。時には数年してから発症したと考えられる例もあるようです。これが狂犬病のもうひとつの大きな特徴です。
人が発症すると、風邪の様な症状から、嚥下筋の痙攣による嚥下困難でいわゆる「恐水病」発作に襲われ、3日から三週間で死の経過をたどります。発作時は強い不安感、恐水恐風症状、声帯麻痺等による奇声、錯乱、全身痙攣が現れ、昏睡状態に陥り、呼吸不全となり死亡します。それ以外のときは意識清明であるため、いっそう肉体的、精神的苦痛も加わりたいへん悲惨な症状だということです。以前、狂犬病を発症した犬のビデオを見たことがありましたが、やはり同じような衝撃的な症状でした。
治療法はありません。症状が出てしまうと対症療法をするくらいで他に有効な方法はありません。ほぼ100%死亡します。咬まれたりしてその危険性があるときは、咬まれた直後からワクチンを何回も打つことが唯一の有効策です(暴露後ワクチン接種)。暴露後ワクチン接種は0、3、7、14、30、90日の6 回打つことが推奨されています。たいへんな労力(時間とお金)が必要です。
4.狂犬病の知識-4(魚沼よみうり2月1日号掲載)
「港湾周辺事情」
狂犬病は治せないばかりでなく、たいへん悲惨な症状を示す恐ろしい病気です。諸外国には現在も多く発生している現実があります。ですから、あらゆる分野で地球規模でボーダレス化が進む今、日本への侵入の機会はゼロではありません。特に動物の輸入や不法上陸などには注意が必要だと思います。輸入に関しては平成10年に狂犬病予防法が一部改正されて検疫対象動物が犬、猫、アライグマ、スカンク、きつねとなり検疫制度が強化されました。
でも、不法上陸問題に関しては注意が必要です。たとえば、ロシア船の六割以上が犬を乗せていたという調査結果があります。ロシア船の国内入港状況は 8,200隻にも達します(2000年)。また、ロシア極東沿岸では毎年少なくとも十頭前後が狂犬病を発症し、登録された犬で狂犬病の予防注射を受けているのは約25%と推計されています(平成14年・読売新聞)。つまり、たとえ飼い犬でも10頭中7、8頭は狂犬病の予防注射を受けていないことになります。単純に考えると日本に来るロシア船で年間延べ約五千頭の犬が来て、狂犬病の注射を受けていない犬は延べ約3,800頭になる計算です。このように日本の港では、狂犬病の発生があるロシアからきた犬が検疫を経ず不法に日本の土を踏む可能性もあるので、港をうろついている飼い主不明犬などには触らないほうがよいでしょう。実際そのような咬傷事故は毎年発生しているようです。ロシアだけでなくさまざまの国から船舶がやってきます。
新潟も海に面しています。それも日本海側の主要港湾ですから、いろいろな可能性があると考えられます。新潟でも何か問題が起こらないともかぎりません。十分な注意が必要です。
5.狂犬病の知識-5(魚沼よみうり2月1日号掲載)
「海外旅行時の注意」
現在、輸入検疫の強化や犬の狂犬病予防ワクチン接種の義務化により、国内では清浄化が保たれています。
国内では犬に咬まれて病院で治療をしても、破傷風のワクチンは打ったという話は聞きますが、狂犬病ワクチンを打ったというのは聞きません。我々も犬や猫、他の動物の診療時に怪我をすることがありますが、狂犬病についてはあまり心配しません。それは今のところ、国内には狂犬病が無いからです。
しかし、海外ではこれは常識でなく非常識です。咬まれたらワクチンを打つのです。年間の暴露(犬だけに限らず狂犬病感染の恐れのある動物に接触したり咬まれること)後のワクチン接種者は世界で推計一千万人だと、初回に述べました。フィリピンでも毎日、100人くらいの人々が暴露後ワクチン接種をしているのだそうです。前に書いたように暴露後ワクチン接種は0、3、7、14、30、90日の六回打つことが必要ですので、多くの時間と費用がかかります。ですから、海外に渡航する場合は以下のことに注意してください。むやみに犬や猫、野生動物に触らないこと。むやみにそれら動物に手から直接餌を与えたりしないこと。万一かまれた場合には、直ぐに傷口を石けんと清水でよく洗浄し、医療機関を受診すること。狂犬病と抗狂犬病ガンマグロブリンおよび破傷風のワクチン接種を受ける。暴露後ワクチン接種は前述した通り、複数回必要です。
また流行地域に長期間滞在するなど、狂犬病感染に対する危険性が高いような場合には、渡航前に狂犬病のワクチン接種を受けるとよいでしょう。場合により四週間間隔で、2回と6ヵ月後に1回受けます。5年間くらい有効だとのことですが、詳しくは医療機関でお願いします。県内では2つの病院で受けられるようです。
6.狂犬病の知識-6(魚沼よみうり2月22日号掲載)
「咬傷事件の対応」
前回は海外渡航時の注意と咬傷事故のときの対応についてでした。
それでは、国内での犬の咬傷事件の対応はどうでしょうか。もし不法上陸犬等に咬まれた場合には、前回述べたような海外咬傷時と同様な対応が必要でしょう。万一があってはたいへんです。
素性のしっかりした飼い犬の場合は、傷の程度にもよりますが直ぐに傷口を石けんと清水でよく洗浄し医療機関を受診してください。また、犬の咬傷事故として保健所に連絡してその指導に従いますが、通常犬に対して狂犬病の鑑定が必要です。狂犬病にかかった犬は発症の約3〜5日前から唾液中にウイルスを排出するといわれていますので、その後約2週間経過を観察します。飼い主とワクチン予防歴がしっかりしている犬は、国内では狂犬病の心配はほとんど無いと思います。しかし、万一狂犬病の疑いがあるような行動や症状が診られた場合には、犬を鑑定のため処分して検査しなければなりません。可哀相なことですが、これは生前診断が困難であるために脳組織から確定診断しなければならないためにどうしても必要なことになります。たまたま別の原因で脳炎症状を起こして行動異常が認められればその対象にならないとも限りません。
狂犬病が国内にあれば、動物に咬まれるたびに狂犬病の心配をしなければならず、それがどんなに大変なことか。国内に無いということが、どんなにありがたいことか計り知れません。
7.狂犬病の知識-7(魚沼よみうり3月8日号掲載)
「まとめ」
幸いにも狂犬病は約50年間国内清浄が保たれています。でも、以前発生した家畜の口蹄疫は九十二年ぶり、また高病原性鳥インフルエンザの79年ぶりの侵入発生、さらにBSE(牛海綿状脳症)問題などをみると、外国であることは日本に起きるかもしれないということです。
ひとたび狂犬病の発生、流行が国内であったら大問題になります。動物に咬まれるたびに狂犬病の心配をしなければならず、人は予防ワクチンや暴露後ワクチン接種のために多くの時間と費用を使い、狂犬病の潜伏期間におびえながら過ごすことになるかも知れません。犬を制御、管理できない飼育者、登録や狂犬病ワクチン接種をしていない犬も大問題になると思われます。
今のまま、国内が狂犬病フリーの状態でいられるように、しっかりした予防措置が重要です。まず入れない、侵入したら蔓延防止です。そのためにはまず検疫の徹底による侵入防止、また我々は犬の登録や狂犬病ワクチン接種(生後91日令以降の犬の登録と接種が義務化されています)の徹底に協力していく必要があります。
予防注射不要論やペット関係者から狂犬病ワクチンはしなくていいと聞いたなどという話も耳にしたことがありますが、正しい現状認識や知識がたりないための意見だと思います。ここで何回か書いた内容をご理解いただいて、決してそうではないことを再認識してください。
繰り返し述べていますが、海外で問題になっているさまざまな感染症は、狂犬病も含めいつ日本に入ってくるかわかりません。その可能性は十分あるのです。そのことを踏まえできることを確実に実施していかなければなりません。
たとえ狂犬病が侵入しても、流行が起こらないように犬へのワクチン接種を定期的に行って抗体保有率を高く維持しておく必要があります。猫は主に犬から感染を受けていて猫から猫の伝播はほとんど起こらないので、都市型の流行では猫への定期接種は現時点では必要ないといわれています。ですから、犬の狂犬病ワクチン接種と登録は飼育者の義務であるだけでなく、公共の利益に寄与するとともに、結局は飼い主自身や愛犬のために大切です。皆さん、ちゃんとワクチン接種してくださいね。
国内の清浄状態がずっと続くように皆さんぜひご協力ください。われわれ獣医療従事者は狂犬病の発生に関して心のどこかに一抹の恐怖心を感じながらすごしています。回を重ねて長々書きましたが、狂犬病や人獣共通感染症に対する注意喚起となれば幸いです。
8.平成19年春4月(魚沼よみうり4月12日号掲載)
今期は、暖冬で今までに経験のない雪の少なさでしたが、帳尻を合わせるかのような3月の降雪が毎年見ていたような景色を少しだけみせてくれました。そして、いよいよ待ちどおしかった春の訪れを実感できる時期になりました。
新年度の4月から、狂犬病の予防注射が始まっています。前回のシリーズでお伝えした内容をご理解いただいて愛犬や愛犬家のために、さらには公共の利益のために狂犬病の予防接種をお願いします。ただし体調の悪い犬はかかりつけの動物病院にご相談ください。また集合注射には飼い犬を制御できる人が連れて行ってください。他の犬とケンカをしたり逃げられたりしないようにお願いします。はがきも忘れずに…。
そして春は皆、活動的になる季節です。冬に比べ車もスピードが出て、犬や猫も外出の機会が増えますので、まず交通事故に注意してください。10年前に比べてずっと少なくなってきていると思われますが、事故で手術をしなければならなかったり、後遺症か残ったり、時には命まで失われる大変悲惨なケースも多く起こります。
交通事故は外出自由の猫にとくに多いのですが、犬も気をつけなければいけません。首輪がゆるかったり、首輪の金具が壊れていた、リードや鎖が悪く切れた、放して散歩させていた等々。犬の場合、飼い主さんのちょっとした不注意で起きることが多くあります。
狂犬病の集合注射の時にも、ゆるんだ首輪を付けている犬をしばしば見かけます。ゆるいと犬が嫌がったり怖がって、騒いだり後ずさりすると抜けてしまいます。結果、捕まえられず注射が打てなかったり、交通事故やケンカになったりと、思わぬ事態を引き起こしたりします。首から抜けるような首輪の付け方は首輪の用を成していませんので、一度確認することをお勧めします。くれぐれも事故等には気付けましょう。
飼い主の注意で予防できることをしっかり意識し、これからの過ごしやすい活動的な春を愛犬、愛猫と一緒に楽しんでください。
9.糞を捨てないで(魚沼よみうり8月2日号掲載)
動物好きの読者の皆様、ご無沙汰しています。
狂犬病の集合注射が今年度も無事終了しました。また、フィラリア予防の時期はもう始まっています。忘れていませんか。愛犬家の皆様、狂犬病のワクチン注射はもう済みましたか?まだ済んでいない方は市町村からのハガキを持って、かかりつけの動物病院で接種を受けて下さい。狂犬病の予防接種と登録は飼い主の義務です。よろしくお願いします。
さて、最近は愛犬家のマナーは向上してきており、放し飼いやノーリードでの散歩はあまり見かけません。しかし、散歩中の糞の始末はまだまだ十分ではありません。散歩中にした犬の糞は放置したり田や畑や水路に投げたりせず、飼い主が責任を持って拾って帰るのがマナーです。散歩の時はウンチ袋を忘れずに、必ず持っていってください。
今も残念ながら時々糞を見かけることがあります。場所によっては沢山あちこちに目立つところもあります。自宅の前や道に糞尿がある場合を想像してみてください。たとえ犬好きな人でも放置された糞尿を見るのはやはり気持ちの良いものではありません。そして糞が回虫などの寄生虫や細菌による病気の感染、汚染源になることも考えられます。このように衛生的な面からも問題がありますから、飼い主の責任で必ず糞の後始末をしましょう。愛犬の糞の始末は他人に迷惑をかけないという基本的なマナーの一つです。当院に来院いただく飼い主さんの中にも、残念ながら一部にマナー違反の方がいらっしゃいます。是非ご協力をお願いします。また、これを読まれた愛犬家の皆さん、今日から散歩の時にはウンチ袋を必ず持参しましょう。
保健所や市町村の担当窓口にも鳴き声や糞尿、放し飼いなど犬に関するさまざまな苦情があるようですが、糞の始末に関しては愛犬家一人一人が意識してウンチ袋を持参し、行動するだけで解決することができます。地域の住民が気持ちよく生活できるようにご協力をお願いします。(なんだか行政の担当者のようなお願いになってしまいました…)。
これから暑くなりますから、熱中症に気を付けて愛犬と楽しくお過ごしください。
10.猫を捨てないで(魚沼よみうり2007年8月23日号掲載)
この季節には病院に来院する子猫が多く見受けられるようになります。春にうまれた子が予防接種や健康診断、病気で来たりしています。
本来、猫の発情シーズンは大体1月から8月頃といわれています。これは太陽光の日長時間と関係があるのですが、最近の飼い猫は室内飼育などのため、蛍光灯のような室内光により本来のシーズンに関係なく発情が見られます。ですから、季節に関係なく秋や冬にでも妊娠と出産をすることが最近では普通に見受けられますが、やはり出産が多いのは今の季節です。かわいい子猫たちが多く来院する季節なのです。
どんな動物でも小さいときは、本当にかわいいものです。特に子猫の時期は、なんにでもすぐにじゃれついて夢中になって動き回ります。カルテを記入している傍でペンの動きにすらじゃれついてくるので、もともと上手な文字がますます上手になってしまったりします。その仕草の愛らしさを見ているだけでも楽しくなってきます。
でも、悲しいことがあります。そんなかわいい子猫たちが捨てられてしまうという現実です。それは捨ててしまう人がいるという事ですから、その無責任さには本当に腹が立ちます。子猫が生まれたら飼えないから捨ててしまえばいいというのでは、動物を飼う資格はありません。
野良猫になって周りの人が迷惑したり、捨てられた猫を保護した人がどれだけ苦労しているか。心ある人ほど、そんな状況を見過ごせずに保護してしまい、猫が徐々に増えていき苦労しています。本当に猫が好きで猫を大切にしている人達だと思います。
そんな方達や行政の方の苦労を見るにつけ、猫を捨てる人の身勝手さに憤りを感じます。
どうか、子猫を捨てないでください。
11.猫を捨てないで-2(魚沼よみうり2007年9月27日号掲載)
本来、猫は季節的多発情動物ですが、最近は室内光などの影響により繁殖季節に関係なく発情、出産をする傾向にあると前回に述べました。そして、猫の繁殖の特徴のひとつに交尾排卵ということが挙げられます。これは交尾刺激により血中ホルモンレベルが上昇して排卵が誘発されるということですから、結局、交尾すると妊娠の可能性が非常に高いということになります。また、生後四カ月から十二カ月で性成熟に達し、平均十カ月齢で最初の発情が来ます。そして妊娠すると約六十五日前後で出産します。また出産後の発情開始は、出産後二週間から離乳後二週間の間です。授乳中にも発情が来ることがあり、子育てをしながら妊娠することもあります。ですから一頭の雌猫は年平均二・二回のお産をするという報告もあるようです。
特に繁殖力の強い雌猫は一年に四回出産することもあり、その子供も生後一年たたずに出産することがあるので、一回に四、五匹生んだと仮定すると、なんと一年たつと十六~二十数匹に増えてしまうのです。次の年にはその猫も出産しますから、ネズミ算ならぬネコ算で恐ろしいことになるのです。ですから、油断は禁物です。発情が来てちょっと外出をしたと思ったら、一カ月もするとなんだかお腹が大きいような感じがして、もう一カ月もすると出産してしまいます。もし生まれた子猫を責任を持って飼えないのなら、そうなる前にきちんと避妊手術を受けさせるべきです。
以前、女性直木賞作家のナントカという人が、生まれた子猫を全部崖の下に投げ捨てるというようなことを某紙に書いたようですが、この記事を読んで嫌悪感を持たれた方も多かったのではないでしょうか。動物と楽しく仲良く暮らすのが第一ですが、人と暮らしている動物は野生動物ではありません。社会に迷惑をかけないことや命を大切にするという観点も必要です。 子猫を捨てて知らん振りは非常に無責任な態度だと思います。適切な繁殖制限のために避妊手術も必要です。増えすぎて困る前に考えてみてください。
どうか、子猫を捨てないでください。
12.猫を捨てないで-3(魚沼よみうり2007年10月11日号掲載)
今、多くの子猫が本当にかわいい盛りを迎えています。遊ぶ姿を眺めていると可愛くて可愛くて、ずっと見ていても飽きません。でも、捨てられてしまう不幸な子猫がたくさんいます。
餌も食べられずに衰弱していき病気に罹ったりして命を落としてしまう。あるいは、野良猫になって周りの人や猫に迷惑をかけたりします。なかには熱心な愛猫家に保護されて運良く、新しい飼い主が見つかって幸せになる子もいます。でも、その愛猫家の苦労と苦悩は大変なんです。捨てられている子猫を見てしまうと放っておけずに、大変なことがわかっているのについつい保護してしまいます。見捨てておけないんです。
さあ、子育ての始まりです。目の開かないようなチビ猫はミルク(牛乳などでなく猫用ミルクにしてください)を数時間おきに授乳しなければいけません。場合によっては母猫の代わりにおしりを刺激して排便や排尿を促してやります。数週間、夜に昼に世話をしてやっと離乳するのです。中には弱った子や病気の子もいるでしょう。治療や看護も必要です。愛猫家が労力や時間、経費をかけて一生懸命に世話をして、やっと
かわいい盛りを迎えます。かわいいなと思ったのも束の間、今度は新しい飼い主探しに悩むことになります。とても自分一人ですべての子猫を飼い続けることはできませんから、なんとか飼ってもらえるところを見つけるのにまた一苦労しなければいけません。そして生後二、三カ月の一番かわいいころには、他へもらわれていきます。良かったと思いながらも愛猫家は、すごく寂しさを感じて悲しくなったり、貰われた先で元気にしているかしら、かわいがってもらえているかしらと心配してしまいます。複雑な愛猫家の心理です。
そして生後六カ月も過ぎるようになると、新しい飼い主がなかなか見つかりにくくなります。発情の時期も近付き去勢や避妊手術も必要です。自分のところにいてくれるのも嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちでしょう。
こうして毎年毎年、愛猫家は一喜一憂しながら一生懸命子猫の世話をしています。うちの病院や保健所(今は正式名称ではありません)、ペット関連施設などにいろいろな子猫の新しい飼い主の募集情報があります。可愛がっていただける方が居られまし
たら問い合わせをお願いします。猫の新しい飼い主を募集しています。
生まれたら捨ててしまえばいいと安易に考えている猫の飼育者は、その行為がどんなに社会に迷惑を掛けているかよく考えてください。捨てるのは非常に無責任な行為です。自分で責任を持てないのであれば猫を出産させてはいけません。きちんとコントロールしてください。どうか猫を捨てないでください。
13.(2009年1月3日・新年号掲載)
“腹肉”と書いてハニーと読む(当て字)雄猫をおんぶする、やさしい“ゴン美”ちゃん “腹肉”と書いてハニーと読む(当て字)雄猫をおんぶする、やさしい“ゴン美”ちゃん“腹肉”と書いてハニーと読む(当て字)雄猫をおんぶする、やさしい“ゴン美”ちゃん “腹肉”と書いてハニーと読む(当て字)雄猫をおんぶする、やさしい“ゴン美”ちゃん 皆さんあけましておめでとうございます。
昨年は愛しい動物たちと皆さんにとっていかがでしたか。本年がますます良い年でありますようにお祈り申し上げます。
さて筆不精の小生は、やさしい魚沼よみうりの担当者から原稿依頼を受けると、毎回悩んでしまいます。お魚の好きな、某執筆者のような軽妙で洒脱で時々毒気もある素敵な文章に憧れるのですが、私のはどうもそうなりません。で、内容も結局のところ動物たちのことしか書けないので、今年も相も変わらぬ内容と文章で何回かお付き合いしていただけたらうれしいです。
最近の冬に多いなと思うのが、皮膚炎と体重増加です。特に室内で生活している犬に多いようです。統計を取ったわけでもないし論文が出たわけでもないので、あくまで私の個人的な感想ですがここ数年いつも感じます。もっとも皮膚炎が多いのは梅雨時から夏場ですが、冬にも皮膚の痒みで来院する犬が多くなりました。確かにアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の動物が増えていますから、いつも皮膚の痒みの問題を抱えている子自体が多いのですが、冬場に悪化する場合が見受けられます。直接の原因ではないですが悪化の一因として暖房器具が考えられます。こたつやストーブ、温風ヒーターの真ん前に居座り、熱風を浴びて被毛がアツアツになっている子はいませんか。結構そんな子が多いようです。皮膚が乾燥してフケが多くなったり発疹が出たりする子がいますので、皮膚の弱い子は気を付けましょう。
あとは体重増加です。冬を越して春に来院した際に体重が増えている子も多いようです。正月太りというわけでもないでしょうが、暖かい部屋で一日過ごし、外出や散歩は秋より少なく、こたつの脇でおとーさんの晩酌のお付き合い、など思い当たることはないでしょうか。お話を伺うと結構いらっしゃるようです。フィラリア予防のシーズンには、「あっ、体重ふえていますね〜。これ以上増えないようにしましょうね。」などと、完全に自分のことは棚に上げて喋っています。
そうそう、以前に何回も書きましたが、膀胱炎にも気を付けてくださいね。やはり冬に多くなります。尿結石による膀胱炎では排尿障害が出ることがあり、特に男の子は尿道閉塞を起こして急激な症状悪化が見られることがありますから、ご注意を。おしっこが赤い、トイレに何回も入るけど出ていない、トイレの格好をして力んでいる、食欲がない、吐くなどの症状がみられたらすぐに受診してください。もう何件かありますよ。本格的な冬を前に要注意です。
では、新年も動物たちと共に楽しくお過ごしください。
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