五穀豊穣 家内安全を祈り大般若会 南方稲荷尊大祭

9人の僧侶による大般若会厳修(大般若経典六百巻転読)=6日、関興寺裏山の南方稲荷宮

「味噌なめたか」で知られる南魚沼市上野の臨済宗関興寺の裏山にある南方稲荷で6日、恒例の「南方稲荷大祭」が行なわれた。

梅雨の晴れ間となったこの日、家内安全や諸願成就を祈願しようと多くの地元住民をはじめ参拝者が訪れ、南方稲荷宮内では、杉岡明全住職と8人の僧侶による大般若会(大般若経典六百巻転読)が厳修され、餅捲きや抽選会などが行われた。また、群馬県沼田市「薄根ふるさと太鼓」の山々に響き渡る迫力ある演奏で祭りを盛り上げ、和太鼓体験会も行われた。

大般若会厳修を終え、僧侶たちによる餅捲き
群馬県沼田市「薄根ふるさと太鼓」の迫力ある演奏で響き渡る

参拝者や南方講役員も和太鼓に挑戦

南方稲荷尊天とは、上杉謙信亡き後、御館の乱(景勝と景虎の家督争い)で、景勝公苦戦の知らせで駆けつけた渡邉藤兵衛が十文字の槍を操り、迫り来る敵を次々と蹴散らして勝利へと導いた。論功行賞の際、渡邉藤兵衛の身元を八方捜したが見つけることが出来ずに諦めかけていた時、関興寺裏山にある稲荷の祠の前に脱ぎ捨てられた粗末な武具が発見された。景勝公は、その祠が居城より南方の方角あったことから「南方稲荷尊天」と篤く尊崇し新たに社殿を建立し、長く帰依したと伝えられている。南方講、講頭の星野茂さん(68)は「今日は、珍しく天気に恵まれ多くの人たちから来ていただき喜んでいる。この伝統ある南方様をいつまでも、地域全員で守って行きたい」と話していた。

午後から、関興寺本堂前、枯山水の石庭臥龍の庭(がりゅうのにわ)前で、ジャズシンガー笹川正子&ジャズクインテットの無料ライブが行われ、スタンダードナンバーやオリジナル曲「冬晴」まで12曲を披露し、来場者を魅了した。

笹川正子&ジャズクインテットの無料ライブ=本堂前、石庭臥龍の庭前

また、9月末まで、境内で「風鈴祭り」を開催中で、特製「味噌なめたかアイス」や抹茶、コーヒーなども販売され、写経や座禅体験も楽しめる。問い合わせは、南魚沼市 上野267 電話025−783−2111。

約1400個の風鈴がお出迎え=関興寺総門前

(雪国新聞 7月18日掲載)

無病息災を念じて火渡り 南魚展写真撮影会も同時開催

南魚沼市大倉の八海山坂本神社で25日、第46回八海山坂本神社火渡り祭が行われた。雨模様の祭場では、心身の罪穢れを祓い清める修祓(しゅばつ)から、神職や修行者、来賓らによる玉串奉奠などの神事に続き、修奉者が祭場の四方を清める五麻之儀、弓を射て災いを払う弓行事などが行われ、祭場中央に、積み上げられた杉の木(大護摩)に行者長、ホラ貝(八海山法螺貝会)の合図で点火。最初は雨で点火に手間取ったが、やがて勢いよく燃え上がると祭場は、熱気と煙に包まれた=写真=。

火が収まると、先達が 諸願や邪気を祓う九つの呪文を唱え、印を切り、いよいよ火渡りの開始
修奉者、祭主、行者らに続き、地域住民や一般の参拝者も素足で渡り、家内安全や無病息災を祈った

護摩木が燃え尽き、炭になると修奉者、祭主、行者らに続き、地域住民や県内外からの参拝者が素足で、家内安全や無病息災を念じながら渡った=写真=。巫女として火渡り祭に参加した、南魚沼市茗荷沢の高校1年生、井口夕海さん(15)は「今日は、同級生の仲良し3人(石井音色さん、高野結衣さん)でお手伝いをさせていただいた。3人とも初めての経験で緊張もしたが、伝統文化も体感できたし、貴重な経験をさせていただき感謝している」と話していた。

この日、南魚沼美術展実行委員会写真初心者講習会も行われ、雨が降るなか祭場で行われた撮影会で盛んにシャッターを押す姿が見られた。午後は、池田記念美術館で、参加者が撮影した作品を持ち寄り、南魚沼美術協会顧問、田辺千勝さん(77)による講評講習会が行われた。

写真講習会参加者とともに講師の田辺千勝さんも盛んにシャッターを切る

講師の田辺さんは「降りしきる雨にも関わらず、伝統行事の火渡りをよく捉えており、特に行者らの細かい所作などを表現した素晴らしい作品ばかりだった」と話していた。

 

 

 

 

 

 

(雪国新聞 6月6日掲載)