地域の芸術を牽引した山本安雄さんを偲んで三回忌追悼展 トミオカホワイト美術館

 

南魚沼市上薬師堂のトミオカホワイト美術館で「山本安雄三回忌追悼展」が開催されている。8月30日のオープニングイベントには、山本安雄さんを偲び約70人が来館。山本安雄さんの妻、悦子さん(85)と二男、未知雄さん(56)が感謝の言葉を述べ、山本安雄さんの従兄弟で画家の永井昭司さん(89)による作品解説が行われた。

約70人の市民が山本安雄さんを偲ぶ=8月30日、トミオカホワイト美術館、追悼展オープニングイベント
左から、妻、山本悦子さん。従兄弟、永井昭司さん。二男、未知雄さん=山本安雄さん、家族もお気に入りの昨品のひとつ「空、澄みて」の前で

1933年3月15日、関川村に生まれ、23年3月4日に89歳で亡くなった山本さんは、一陽会会員、日本美術家連盟会員、県美術家連盟会員で南魚美術協会の顧問などを務めたほか、1967年に第1回個展を六日町公民館で開催して以来、95年まで毎年、個展を開催。中学校の教員だった頃も帰宅後はアトリエで、日に一度は筆を持つという生活を送り、退職後も地域の芸術文化の向上や普及に長年尽力した。同追悼展では、南魚沼市藤原、繁城山法音寺の平成蔵に収納された作品を中心に展示し、これまでの画業を振り返る。
山本安雄さんの二男、未知雄さんは「父が亡くなってからも、大勢の皆様に昨品を観ていただき、父も天国で喜んでいると思う。また、法音寺前住職の鈴木快秀さんには、追悼展の開催にご尽力いただき心より感謝している」と話していた。

「山本安雄三回忌追悼展」は、9月29日まで(富岡惣一郎「白の風景」同時開催)。開館時間は9時〜17時(最終受付16時30分)、毎週水曜日休館、観覧料は一般500円、小中高生250円(南魚沼市民は無料)。問い合わせは、南魚沼市上薬師堂142、電話025−775−3646まで。

(雪国新聞 9月12日掲載)

4500匹の鮎の炭火焼きをまるかじり 魚野川鮎まるかじり祭

過去最高の人出でにぎわった第25回魚野川鮎まるかじり祭=8月23日、南魚沼市六日町の魚野川河川敷

南魚沼市恒例の夏の風物詩「魚野川鮎まるかじり祭」が23日、南魚沼市六日町の魚野川河川敷で開かれ、約4700人が来場し、祭りを満喫した。鮎まるかじり祭は、同実行委員会(富所真太郎委員長)主催で今回が25回目となる。今回は約4500匹の鮎を用意し、実行委員会とボランティア約120人が会場運営スタッフとして参加。

陽射しと炭火の熱さを堪えながら鮎を焼く、スタッフや林茂男市長

開催前の16日早朝から、ボランティアが河川敷の草刈り作業を行い前日には、焼き場をはじめ客席、電気関係ほか会場準備を行った。開催当日、全長20メートルの焼き場では、陽射しと炭火の熱さを堪えながら汗をタオルで拭いながら鮎を焼くスタッフ。その焼きたての鮎を求める来場者の長蛇の列ができ、ステージでは歌やダンス、アフリカン太鼓・ジャンベ、ジャズ演奏などが披露され、来場者はステージショーを観賞しながら焼き上がった鮎を片手にビールで乾杯し、祭りを満喫した。

黄昏時のジャズ演奏で魅了した「笹川正子&ジャズクインテット」。「納涼盆踊り」では、来場者の飛び入りで盛り上がる

実行委員会の実行委員長、富所真太郎さん(51)は「暑いなか、今年も大勢の皆様にお越しいただき心より感謝申し上げます。毎年『魚野川と坂戸山を眺めながら味わう鮎とビールは格別で最高!』とご好評をいただいております。さっそく、来年に向けて反省点を改善しながら、より多くの皆様に愛される祭にするために努力してまいりますので来年も是非、お越しくださいますようお願い申し上げます」と話している。

(雪国新聞 9月5日掲載)

南魚沼の農業は我々が変える  南魚沼の若者がコメ工房株式会社を設立

1列目●萩元朝陽(20)広報担当。2列目●林舜(25)代表。3列目左から●森澤真爾(41)営業担当●須藤晴哉(21)顧客対応担当●牧野修平(20)法務担当●高橋心白(20)動画編集担当●鈴木睦月(23)ナレーション●林花音(19)優しいお姉ちゃん●野澤干優(19)癒し担当●角谷龍之介(23)動画編集担当●駒形涼(27)販促担当●貝瀬一生(26)撮影協力

「地元の農業を我々で変えよう」とマーケティングに秀でた南魚沼の若者が集まり、SNSやネットで南魚沼の素晴らしい自然や米の魅力を全国に発信し、米の販売を行う「コメ工房株式会社」を南魚沼市塩沢の学習塾MSP内に設立し、本格的な活動を開始した。

代表取締役の林俊さん(25)は、六日町高校卒業し、東洋大学に進学。経営学を学びながらアルバイトでバーの店長を務め、アプリ開発にも携わるなど多彩な経験を積み、大学卒業後は、Webシステム開発会社に入社。その後、サイバーエージェントやAmazon出身者が立ち上げたマーケティング企業「株式会社SOKKIN」に転職。デジタルマーケターとしてスキルを磨き、身につけたデジタルマーケティングの知識と熱意を持って2025年、故郷へUターンした。

林さんは、物心ついたころから父子家庭で、家では無口な父と、祖父母に支えられながら暮らし、人と話すのがとにかく苦手で、友達ともあまりうまく話せないような子どもだったという。

「それじゃダメだと思い、自分を変えようと、バーでバイトしたり様々な経験を通して、少しずつコミュニケーションを学んできた。地道にコツコツやるのは昔から得意で大学から社会人として東京で過ごすなかで、『やっぱり自分は南魚沼の自然、ごはん、人の温かさが大好き』だと気づいた。ちょうどそんな時、令和の米騒動のニュースを見て『美味しいお米を作っている南魚沼の農家でさえ、儲かっていない──』ことには、ショックだった」と話す。

さっそく、東京の仕事を辞め、地元に戻ってきた林さんは、農家で農作業を手伝いながら、地元出身の大学生や地元社会人と共に、空いている時間にSNSやネットを通して、南魚沼のお米や風景の魅力を届けようと「こだわり米工房 南魚沼」の発信を開始。総フォロワー数、約1・5万人を達成した。

林さんは「ぜひ一度、『こだわり米工房 南魚沼』で検索していただき、地域の皆様に、こういう活動をしている若者たちを知っていただけたら嬉しい。また、お米の保存施設や販売サイトの整備ほか、今後の活動などを広げていくために『クラウドファンディング』にも挑戦することに。僕たちの活動は、まだまだ未熟で、失敗もあると思うが『地元を元気にしたいという気持ち』は本物で本気です。ぜひ、皆様の力を貸して下さい」と話している。

同社では今後、雪室の見学施設やおにぎり屋開店なども目指し、魅力ある南魚沼の情報を発信しながら観光地としても盛り上げていきたいと意気込んでいる。

問い合わせは、電話080-6801−3524まで。

(雪国新聞 8月29日掲載)

 

檀家や地域住民が祝う 南魚沼市 正眼寺庫裡の上棟式

南魚沼市寺尾の正眼寺で2日、今年4月から建築中の庫裡(くり)の上棟式が行われた。檀家や地域住民ら約150人が見守るなか、棟上げを祝い、今後の工事の無事を願った。正眼寺は、1541年(天文10年)に開創。山号(=寺の名称に冠される称号)は大應山(だいおうざん)、本尊は釈迦牟尼仏、檀家約550件、曹洞宗の寺である。新しくなる「庫裡」(=寺院の台所にあたる建物、住職やその家族の住む場所)は、1階が高床式基礎コンクリート、2階と3階が木造の延べ床面積は約434㎡で年内の完成予定。

内藤玄昭住職、大平岩夫さんによる仏式と神式での行われた庫裡上棟式=2日、南魚沼市寺尾、正眼寺

時折、激しい雨が降るこの日、檀家や関係者らの記念撮影に続き、庫裡内では、仏式と神式での上棟式が行われ、内藤玄昭住職(43)が災難を取り除き、幸福を招く読経「清災呪」(しょうさいじゅ)に続き、大平建設工業社長、大平岩夫さん(73)による祝詞奏上(のりとそうじょう)などの神式の儀式が行われた。内藤玄昭住職は「改築か新築にするか2019年に検討をはじめて6年。建て替えに決まったが、今年4月に工事を開始。おかげさまで今日、上棟式を迎えることができ皆様に感謝と同時にホッとしている。新しくなる庫裏は3階建てで大きく立派な建物。バリアフリーにこだわり、エレベーターも完備となる事でより多くの皆様が気軽に寺にお越しになれると思う」と話していた。

引き続き、脇棟梁による弓弾きの儀や鏡開き。最後に、地域の子どもたち、住民らが待ちに待った「餅まき」が行われ、60キロの餅やお菓子と住職自ら紅白のリボンを通したという5円玉、50円玉も撒かれ、集まった住民らは縁起物の餅を拾おうと懸命に手を伸ばしていた。

脇棟梁による魔除け、邪気払い「弓弾きの儀」
地域住民ら約150人が集まった「餅まき」

(雪国新聞 8月15日掲載)

 

関興寺に特別出店 セルプこぶし工房「こぶ平CAFE」

南魚沼市上野の関興寺境内にある「禅Cafe Nirvana(禅カフェ ニルヴァーナ)」に26日、セルプこぶし工房「こぶ平CAFE」が出張出店し、冷たい飲み物で喉を潤し、小物雑貨を買い求める多くの市民や参拝者らで賑わった。

「こぶ平CAFE」に訪れた来店客同士で談笑を交わしながら交流=26日、南魚沼市上野、関興寺「禅Cafe Nirvana」前

南魚沼市塩沢のセルプこぶし工房は、社会福祉法人南魚沼福祉会(高齢者施設3・障がい者施設5)を運営する就労移行支援・就労継続支援B型・就労定着支援事業を行う障害福祉サービス事業所で、障がいのある方が、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう必要な支援を行っている。また、塩沢駅前のつむぎ通り「軽トラ市」に出店しているほか雪譜まつり、同工房の福祉まつりなどにも出店している。

こぶし工房施設長、鵜川一寛さん(58)は「関興寺様の委託で6月から毎週木曜日に、清掃作業を行っている。そこで、弊所の自主製品などの販売する場をお借りしたいと住職に相談したところ快諾をいただき、今回の出張出店が実現した。なお、8月23日にも出店させて頂きます。弊所の利用者やスタッフにとって、より多くの皆様からお越しいただく事が、とても励みになります」と話す。

また、南魚沼市姥島新田の根津美里さん(68)は「お寺さんにあるカフェ「ニルヴァーナ」も珍しいがさらに、福祉施設とのコラボによる出張販売「こぶ平CAFE」は、福祉や地域のためにも素晴らしい活動だと思う」と話していた。

「こぶ平CAFE」では、オリジナルブレンドコーヒー、じゃがいもだけを使ったお菓子「じゃがBOW(ぼう)」と手工芸品などを販売

(雪国新聞 8月8日掲載)

五穀豊穣 家内安全を祈り大般若会 南方稲荷尊大祭

9人の僧侶による大般若会厳修(大般若経典六百巻転読)=6日、関興寺裏山の南方稲荷宮

「味噌なめたか」で知られる南魚沼市上野の臨済宗関興寺の裏山にある南方稲荷で6日、恒例の「南方稲荷大祭」が行なわれた。

梅雨の晴れ間となったこの日、家内安全や諸願成就を祈願しようと多くの地元住民をはじめ参拝者が訪れ、南方稲荷宮内では、杉岡明全住職と8人の僧侶による大般若会(大般若経典六百巻転読)が厳修され、餅捲きや抽選会などが行われた。また、群馬県沼田市「薄根ふるさと太鼓」の山々に響き渡る迫力ある演奏で祭りを盛り上げ、和太鼓体験会も行われた。

大般若会厳修を終え、僧侶たちによる餅捲き
群馬県沼田市「薄根ふるさと太鼓」の迫力ある演奏で響き渡る

参拝者や南方講役員も和太鼓に挑戦

南方稲荷尊天とは、上杉謙信亡き後、御館の乱(景勝と景虎の家督争い)で、景勝公苦戦の知らせで駆けつけた渡邉藤兵衛が十文字の槍を操り、迫り来る敵を次々と蹴散らして勝利へと導いた。論功行賞の際、渡邉藤兵衛の身元を八方捜したが見つけることが出来ずに諦めかけていた時、関興寺裏山にある稲荷の祠の前に脱ぎ捨てられた粗末な武具が発見された。景勝公は、その祠が居城より南方の方角あったことから「南方稲荷尊天」と篤く尊崇し新たに社殿を建立し、長く帰依したと伝えられている。南方講、講頭の星野茂さん(68)は「今日は、珍しく天気に恵まれ多くの人たちから来ていただき喜んでいる。この伝統ある南方様をいつまでも、地域全員で守って行きたい」と話していた。

午後から、関興寺本堂前、枯山水の石庭臥龍の庭(がりゅうのにわ)前で、ジャズシンガー笹川正子&ジャズクインテットの無料ライブが行われ、スタンダードナンバーやオリジナル曲「冬晴」まで12曲を披露し、来場者を魅了した。

笹川正子&ジャズクインテットの無料ライブ=本堂前、石庭臥龍の庭前

また、9月末まで、境内で「風鈴祭り」を開催中で、特製「味噌なめたかアイス」や抹茶、コーヒーなども販売され、写経や座禅体験も楽しめる。問い合わせは、南魚沼市 上野267 電話025−783−2111。

約1400個の風鈴がお出迎え=関興寺総門前

(雪国新聞 7月18日掲載)